コラム
〈2026/07/07〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
園児と大学生の共育 七夕
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
日本の年中行事のひとつの七夕は、子どもが日本の文化に親しむきっかけの1つです。天の川の話を聞いたり、願い事を考えて短冊に書いたり、笹飾りを作ったりすることを通して、季節の行事を楽しみながら文化的アイデンティティの基礎を育てることができます。
織姫と彦星の物語は、幼児にも理解しやすく、感情移入しやすい内容です。「会えなくて悲しい」「星空で会えて嬉しかった」という気持ちの理解は、情緒の発達や他者への共感性を育てます。短冊に願いを書く行為は、子どもにとって「自分の気持ちを言葉にする」練習になります。そして、自分の願いを考えること・言葉にして伝えることは、言語発達だけでなく、自己表現力や自己肯定感にもつながります。
また、七夕飾りの作成は、折り紙・はさみ・のりなどを使うため、幼児の微細運動能力を育てます。色や形を選び、自分で作るという創作活動は、子どもの創造性や集中力を高めます。
七夕は「星」「天の川」「夜空」といった自然への興味を引き出す絶好の機会です。星空に思いをはせ、天の川という星の帯がある宇宙への好奇心を持つことは、自然科学への入り口としても優れています。
他者と願いごとを共有したり、飾りを一緒に作ったりすることで、コミュニケーションや協働が自然に生まれます。社会性の発達にも効果があります。
七夕は、子どもが「願いを持つ」「未来を思う」という心の成長を経験する行事です。これは自己肯定感や意欲の芽生えにつながり、幼児教育でとても大切な要素です。
このように、子どもの文化理解・情緒・言語・創造性・自然科学・社会性・自己肯定感を総合的に育てる教育的価値の高い行事である七夕を、「園児と大学生が共に学び育つ共育」活動として、大学で行いました。園児と大学生がペアになり、願い事を話しながら書いた短冊と一緒に作った飾りを結び付けた七夕の竹を完成させました。大学生にとっても、子どもを通して文化や異年齢交流とコミュニケーションを学ぶと同時に自分の「心からの願いや思い」に向き合う良い機会になりました。

