コラム
〈2026/06/01〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
野菜から食べよう、心を育てよう
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
子どもが苦手な野菜の1位はピーマン、2位はナス、3位はネギ(参考資料1)。野菜が苦手な子どもは今も昔も少なくありません。実は子どもだけでなく大人も野菜を食べなくなっています(参考資料2)。
野菜をしっかり食べる(必要十分な量を摂取する)ことは、健康の維持増進に必要ですが、食べる順番も重要です。血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)は血管を傷つけ、動脈硬化を進めてしまいますが、食事の時はまず野菜から食べること「ベジタブルファースト(ベジファースト)」で、血糖値の上昇を穏やかにすることができます(参考資料3)。
ベジタブルファーストは、生活習慣病である糖尿病や動脈硬化が心配な大人の体の健康に良いだけではなく、子どもたちの心の健やかな育ちに大きく関与している可能性が示唆されました(参考資料4)。東京科学大学の藤原武男教授とユ・パー・キン特任助教らの研究チームによって、食事の時に「野菜を最初に食べる習慣」がある子どもと無い子どもを比較したところ、小学校の1先生から6年生までずっと野菜を最初に食べている子どもたちは、レリジエンス(困難を乗り越える力)や自己肯定感(自分には価値があると自己を尊重できる感覚)が高いという報告がなされました。
野菜から食べると血糖値スパイクを抑制することができる理由(食物繊維が糖質の吸収スピードを遅らせる)は分かっていますが、子どものレリジエンスや自己肯定感が高まる理由は、実はまだ分かっていません。けれど、野菜から食べることにデメリットは特に無く、理由は明確にはなっていないけれど子どもの心の育ちにプラスになるなら、試してみてもいいのではないでしょうか。野菜嫌いの子どもに野菜から食べることを強要して食べることを楽しめなくなってしまっては困りますが、子どもも大人も、心と体の健康のために、野菜から食べる・しっかり食べる、を無理のない範囲でやってみませんか。

(図の引用元:参考資料5)
【参考資料】