コラム
〈2025/07/01〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
子どもは幸福の主要因
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
幸福は世界共通の願いです。でも、何が幸福をもたらし何が幸福を失わせると人々は考えているのでしょうか。イプソス(フランスの調査会社)による世界各国の幸福度調査の2025年報告書によると、幸福の要因の第1位は、日本でも、調査対象となったほぼ全ての国で「家族や子ども」でした(図1)。
図1:幸福感の要因(参考資料)
けれど、パートナーとの関係は、日本では5位、調査平均では11位とあまり高くなく(図3)、幸福の主要因の「家族と子ども」で大きなウエイトを占めるのは「子ども」だと考えられます。
幸福を損なう要因の第1位は、調査対象となった全ての国で「経済的な状況」で、2位以下に圧倒的な差がありました(図2)。
図2:幸福感を損なう要因(参考資料)
興味深いのは、スウェーデンでは、経済的な状況が幸福と幸福を損なう主要因の両方の第1位だということです(図3・4)。スウェーデンは、公的支援や福祉が充実していて経済的な格差が北欧の代表的な国ですが、パートナーシップや家族の在り方が極めて多様なことや、非常に高い税金が、家族と子どもや経済的な状況が幸福感に様々な影響を及ぼしていると推察されます。
日本でも世界のいろいろな国でも、子どもは幸福の主要因であること、そして子どもを含む家族の在り方が幸福感に大きな影響を及ぼしていることが国際的な調査結果から明らかにされました。大切な子どもたちの健やかな育ちを支える保育は、子どもの幸せな人生のためだけでなく、大人の幸福感にとっても重要であることがわかりました。
図3幸福の要因:国別(参考資料)
図4:幸福を損なう要因:国別(参考資料)
【参考資料】
Ipsos, イプソス幸福度調査2025(Ipsos Happiness Index 2025; 日本語サイト), https://www.ipsos.com/sites/default/files/ct/news/documents/2025-04/Ipsos-Happiness-Index-2025-ja.pdf