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調査研究・コラム

研究データ

〈2021/03/30〉

顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)

【神奈川大学産官学連携研究事業】新型コロナ幼児への影響 - 活動低下

2020年の春、緊急事態宣言が発出されて外出自粛が強く求められ、子どもたちも通常通りに保育所や幼稚園に通うことができなくなったり、運動会が中止になったりして、運動の機会が減りました。また公園の遊具にはテープが張られて利用できなくなり、運動施設も閉鎖・休業になって、体を動かして遊べる場所も制限されました。多くの保育者や保護者が子どもたちの運動不足を心配していましたが、その懸念は残念ながら当たっていたことが、順天堂大学と花王の調査から明らかになりました(参考資料1)。

図1:幼児の歩数の比較(参考資料2より)

 

調査期間(2020年5月前半)の3歳から5歳の平均歩数は6702歩でした。過去の複数の調査によると、保育所や幼稚園に通う平日の平均歩数は9686~15278歩で、緊急事態宣言下では2割から6割も減少していました。過去の調査による休日の平均歩数は8238歩~11207歩で、通園する平日の歩数の方が多くなっていましたが、緊急事態宣言下では平日と休日の差がなく、一様に歩数が減少していました。(図1は、参考資料1のデータを抜粋して見やすくまとめて表示されたものです)

 

しかし、外出制限が幼児の歩数減少・活動低下に大きな影響を与えていましたが、庭で思い切り遊ばせる、階段の上り下りをして遊ばせる、家の中でトランポリンや鉄棒で遊ばせる、家事を手伝ってもらう、お父さんに室内の運動遊びをしてもらう、など保護者が子どもの活動を促す工夫をすると、子どもの歩数が増えていました(参考資料1)。

図2:非外出時に活動を促す工夫をした場合の幼児の歩数(参考資料1より)

 

緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ感染拡大の不安があり、子どもと一緒に不安なく外出や外遊びができる状況ではありません。しかし、園や家庭、庭や屋上の活用、屋内でできる運動遊びを工夫するなど(参考資料3)、子どもたちが元気に遊んで運動不足を解消できる環境をみんなで作っていきましょう。

 

【参考資料】

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