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調査研究・コラム

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〈2020/02/19〉

顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)

【神奈川大学産官学連携研究事業】新型コロナウイルス感染予防のためにも手洗いを

中国の武漢で発生し、世界中に感染が広まっている新型コロナウイルス。日本でも感染者が日々増えています。保育者や保護者の方は小さな子どもたちにも感染が広がることを心配していらっしゃると思いますが、子どもの感染者は少ないです。2020年1月30日の時点で、中国の感染確定者数は9692名でしたが、そのうち子ども(生後1か月から17歳)は28名のみでした(資料1)。日本では子どもへの感染はまだ確認されていません。なぜ子どもの感染者が少ないのか、実はよく分かっていません。子どもだから大丈夫という保証はどこにもないので、感染予防を心がけることが必要です。

 

ウイルスはとても小さいのでマスクを簡単にすり抜けてしまうため、マスクにはウイルス遮断効果は期待できません(感染者が咳やくしゃみでウイルスをまき散らさないための咳エチケットとしてのマスク着用は意味があります)。ウイルスは鼻や口の粘膜から感染することが多いのですが、ウイルスが付着した手指で顔を触ることによってウイルスを口や鼻から体内に入れてしまうと言われています。マスクをしていると手で鼻や口を触ることがないので、そういう意味での「マスクの予防効果」はあります。でも「顔を触らないため」なら、品薄で価格が跳ね上がっているマスクを求めて彷徨しなくても、警視庁のサイトで2018年に紹介されたキッチンペーパーで手作りするマスクで十分です(資料2)。

 

また、厚生労働省や感染症情報センターも推奨していますが(資料3・4)、手を洗うことはコロナウイルスの感染予防にとっても有効です。感染者が触れたもの(つり革や手すり、ドアノブなど)にはウイルスが付着している可能性があり、それを触ると自分の手にウイルスがつきます。それを手洗いでしっかり洗い流しましょう。

このコロナウイルス感染予防にも重要な手洗いですが、男の子と大人の男性は時間も短く、回数も少ないという調査結果が報告されています(資料5)。トイレの後や食事の前に手を洗わない人も結構います。保育所や幼稚園では清潔な生活習慣を身につけるという幼児教育の一環で手洗いを学習しています。保護者の方も、ご自分の健康と家族の健康を守るため、手洗いの習慣をぜひ見直してみてください。

 

<2020年2月21日 追記>

本原稿は2020年1月30日の時点での公開された情報に基づいて作成しています。
しかしその後、患者数は急増しており、また小児の感染者数は成人に比べると少ないものの、日本でも小児患者が確認されました。

 

【資料】
1) Kun‑Ling Shen, Yong‑Hong Yang, Child Mortality, Diagnosis and treatment of 2019 novel coronavirus infection in children: a pressing issue, World Journal of Pediatrics, Published online: 05 Feb. 2020, https://doi.org/10.1007/s12519-020-00344-62) 警視庁(ペーパータオルと輪ゴムでマスクを手作りする方法が写真入りで紹介されている),
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kurashi/saigai/yakudachi/tips/894323445411889152.html
3) 厚生労働省,
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
4) 東京都感染症情報センター, http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/2019-ncov/
5) 日本ユニセフ協会, 手洗い白書2012, http://handwashing.jp

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