コラム
〈2026/08/03〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
子どもが小さくなっている
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
第二次世界大戦以降、乳幼児から高校生まで、子どもの平均身長・体重とも毎年増加していきましたが、1990年以降、頭打ちあるいはわずかに減少しています。新生児や乳幼児でも同様の傾向がみられ、特に赤ちゃんや4歳 6か月未満の年少児の「小柄化」が顕著です(図:参考資料1から作成)。
紙面の都合上、男児のデータから作成したグラフを提示していますが、女児もほぼ同じ傾向です。


乳幼児が小さくなった背景には、 低出生体重児(未熟児)の増加(参考資料2)、妊婦への極端な体重制限(参考資料3)、医療の進歩による不妊治療の普及に伴う高齢出産や多胎児の増加(参考資料4,5,6)があります。このうち最も大きな要因は、生まれたときの体重が2,500g未満の「低出生体重児」の割合が急増したことで、1980年代には5%前後でしたが、平成以降は約10%まで倍増しました。生まれた時から小さいため、乳幼児期(5歳くらい)ではまだ身長・体重とも値は低めになります、また高齢出産や多胎児は早産となるケースが多く、結果として低出生体重児の増加、ひいては乳幼児期の小柄化につながっています。
平成以降、赤ちゃんが小さく生まれる傾向が続いた反面、近年は医療のガイドラインが見直され、妊婦さんが無理なダイエットをせず健康に過ごすことが推奨されるようになっています(参考資料3)。
また、もし赤ちゃんが小さめ(2,500g未満など)で生まれたとしても、現在の新生児医療は非常に進歩しているため、過度に心配する必要はありません。発育で最も大切なのは、平均値(真ん中の線)に届いているかどうかではなく、母子手帳にある「身体発育曲線」のカーブに沿って、その子なりに大きくなっているかです。「周りの子」や「平均値」と比べるのではなく、その子の成長を見てあげてください。
【参考資料】